お風呂の塩素と浸透圧と。「分子ガストロノミー」とは。

ルチアーノショー寄稿ブログ

水の研究を進める過程で、日常的に最も大量の水に触れる機会=「入浴」について考えてみた。

そもそもお風呂はなぜ生理食塩水にしないんだろうと思ってみたが、ヒトの細胞内の溶液と等しい浸透圧にするためには0.9%の塩が必要であり、浴槽の各容量に対し下記の通り。

お湯:塩
200リットル:1.8Kg
300リットル:2.7kg
400リットル:3.6kg

さすがに毎日キロ単位の塩を入れ続けるにはお金もかかるし、配水管が痛む(錆びる)という説もある。

水道水には塩素が含まれているため、これが肌荒れや髪の毛のトラブルの元と言われており、アスコルビン酸による塩素除去によって、アトピー性皮膚炎の改善または治癒も数多く報告されている。
トリムイオンをお風呂に引き込めたらこの上ない。

理論上、1リットルの水道水に含まれる塩素を中和するために、3mgのアスコルビン酸(ビタミンC)が必要とのこと。

お湯:アスコルビン酸
200リットル:600mg
300リットル:900mg
400リットル:1,200mg = 1.2g

アスコルビン酸は食用品質のもので1kg=1,500円ほどで手に入るため大凡1,000日分、1日1.5円だ。
実際に見違えるほどお湯が柔らかくなるので、ここは1つ「水」の科学の始まりとして押さえておきたい。

/*
塩素によって髪の毛のキューティクルも剥がれ落ちてしまうと言われているので、ヘアケアは痛んだものをどうするかではなく、まずはシャワー水の塩素対策から始めた方が良い。
シャワーヘッドにアスコルビン酸を入れることで塩素を除去する商品もある。
*/

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温泉
なども競争が激化してきたことで、生き残りをかけてこれまでの成分(効能)に加え、浸透圧の解説も増えてきた。「温泉ソムリエ」という資格もあるそうだ。

理科の通りだが、ヒトの細胞液に対し浸透圧が低い温泉水を「低張性泉」、高いものを「高張性泉」と言うそうで、水分は浸透圧が低い溶液=低張液(hypotonic)から高い溶液=高張液(hypertonic)へ流れ込む性質から、

「低張性泉」の温泉においてはヒトの身体は「水分」を多く吸収し(手足がシワシワになる)、細胞内の溶質(溶け込んでいる成分)は出ていく。
※日本の温泉に多い。

「高張性泉」においては、ヒトの身体は温泉成分を多く吸収し(湯あたりを起こす可能性がある)、細胞の溶媒(水)は出ていく。

とのことだ。

フランス発祥のタラソテラピーは海水・海底泥・海藻などを使うため塩分・ミネラル量が多く、上記の浸透圧理論から言えば、ヒトの身体は水分を排出し、栄養素を取り入れるという、タラソテラピーが掲げる「デトックス」&「セラピー」の理にかなっている。
私の個人的な体験でも1時間半くらいのトリートメントで1Kgくらい痩せるが、これは発汗によって「浮腫」が取れたことによるものかと思う。脂肪燃焼とはまた異なるもの。

ヒトの細胞膜は脂質二重層という脂質で覆われているため、本来は水をはじく性質のものだが、半透(細胞)膜を通じて水が自由に出入りしていることが長年の謎とされ、水分子が僅かな隙間を衝突しながらも無理矢理くぐりぬける「受動拡散」という考え方が主流だった。しかし近年、アクアポリン(AQP)という「水チャンネル」(水分の通過専用トンネルのような役割のタンパク質)の存在が明らかになり、これまでの「受動拡散」では説明できない高い水の透過性が証明された。
※2003年に、発見者のピーター・アグリ博士がノーベル化学賞を受賞している。

アクアポリン(AQP)はただの水の運搬役ではなく、AQP2は尿崩症と、AQP3は皮膚の乾燥抑制と、AQP4は脳浮腫と、AQP5は目の乾燥治療薬の開発と、AQP7は肥満との関係が指摘・注目されている。
ちなみに「ドライアイ」は、目のアクアポリンに異常を来たすことが原因と言われている。

また、細胞膜は脂溶性の低分子のものは通過するというし、アクアポリンも水のみを選択的に透過させるものと、水に加えてグリセロールなどの低分子物質も透過させるアクアグリセロポリンとある。
よってその通過範囲内のサイズ・分子量の成分が取り込まれるため、化粧品やアロマセラピーなどの効能“期待値”もそこから読み取ることができる。

当然飲食物にも同じことが言える。

フレンチの巨匠ピエール・ガニエール氏が物理化学者エルヴェ・ティス氏と協力し「分子ガストロノミー」という科学を取り入れた新しい料理法に取り組んでいることもこれらの流れと一致している。

Wikipediaによると「分子ガストロノミー」は

料理を科学的見地から解析、分析し、これまで経験や勘で伝承されていた調理法の暗黙知の部分を形式知化させることで、曖昧に伝わっていた味覚、風味、食感などが形式化され、今後、食に関係するあらゆる分野(調理法の改善、調理時間の短縮、食材の保存、食材の活用、新規食材や新料理の出現、新規調理器具等の開発)での応用が期待される。

と説明されている。

経験や勘で伝承されていた調理法の暗黙知の部分を形式知化」という点が興味深い。
インターネットが普及し、より豊富な情報と文献が得られるようになったことから、プロとアマチュアの知識量に大差がなくなった。
多くの人の目に触れる(中には科学者から教授、医者、研究家、大学の研究生などもいるだろう)ようになったことで揉まれふるいにかかっていく。
師弟関係ではない人達からの「なぜ?」にも答えていかなくてはならないので、「昔からこうだからこうなんだ」では通用しないし、場合によって「それは違う」と否定され方向転換を迫られる可能性さえもある時代が来たと言える。

そう。昨日のベストは今日のベストではない。

まさしく我々は「進化」すべき時代に生きている。

というわけで今回も長くなったので、続きはまた次回にお届けしたい。

お食事は、“明日はもっと速く走る”ルチアーノショーへ。

Photographer: Charlie

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by charlie-ls | 2014-07-31 00:01 | 【赤坂】ルチアーノショー寄稿ブログ

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