噂のメンサは本当に高知能なのか。実験台になってみた。

このブログは本編10ページ、あとがき1ページ、別冊3ページの計14ページで構成されている。

■目次
 1ページ:噂のメンサは本当に高知能なのか。実験台になってみた。 現在ページ。
 2ページ:WAIS-III ウェクスラー成人知能検査を受けてみた。全額負担で。
 3ページ:オンラインIQテストの信憑性をメンサ&WAIS-IIIと比較。
 4ページ:Cambridge Brain Sciencesをやってみた。
 5ページ:「上位2%」は100人に2人や50人に1人とは限らない。パラドックス的な。
 6ページ:知能レベルが高い人ほど人を信じやすく、低い人はあまり人を信じない?
 7ページ:言語性知能。片言の外国人との会話から考察。
 8ページ:知能、お金、容姿。○○だからいいってもんじゃないという不思議な理屈。
 9ページ:東大首席の山口真由女史の言う「俯瞰力」とは。
 10ページ:頭と心、理論(Logic)と感情(Emotion)。
 あとがき:知能指数とは。良き理解者へ。あとがき。
 別冊:色盲とIQ。色が絡むとIQ(判断力?)が著しく下がる。
 別冊:知能指数(標準偏差15,16,24換算表)と出現率をエクセルでまとめてみた。
 別冊:国別のノーベル賞受賞者数とメンサ会員数。
 追加少年からのお便り。
 追加知能検査で天才を探す欧米と、診断目的でしか使用されない日本。
 追加学力偏差値でいうところの上位2%とは。
 追加IQ 162以上を正確に測定できるのか。唯一の解答者は「運命の人」なのか。
 追加賢い人、賢くない人の特徴。IQ、学力、知識を束ねるのは性格(感情)。
 追加天才とEQ。スティーブ・ジョブズのEQは高いのか。
 追加オンラインIQテストを標準化する。本物の値に近づけたい人のために。
 追加優れた能力は“発信”しよう。自慢ではなく事実を示せばいい。
 追加メンサ会員と東大生はどっちが“強い”のか(笑)。
 追加IQベースの児童英才教育は注意深く進める必要がある。
 追加都合良く曲解されているEQ。元々農耕民族の指標ではない。

※バラバラに書いていったため、投稿日時もバラバラになっている。

まり。
「メンサ」(Wikipedia)という団体(会)をご存じだろうか。
全人口の上位2%のIQの持ち主を対象とした高知能団体(The High IQ Society)と言われている。

IQが高い人の社交クラブだ。文字通りSocietyだ。
学校でもなければ国家資格でもない。
欧米では社交界デビューすることで、多くの人と顔を合わせビジネスパートナーを見つけたり、資金集めをしたり、チャリティーオークションを開いたり、いわゆる人脈作りに活用する人が多い。
日本じゃあまり馴染みがないが、社会人のサークルや異業種交流会などもその1つだ。労働組合も遠くはないががちょっと違う(笑)。

メンサ監修のパズルの本なども出版されており、最近はテレビでもよく紹介されているらしい。

1946年、英国オックスフォード発で、世界40カ国に支部があり、世界に12万人(内16才未満が8%、女性は35%)、日本では1,800人の会員がいるとされている。
※イギリス22,700人、アメリカ57,000人。このくらい集まると広がりも期待できる。

公式サイトから申し込んで、試験料1万円払って、指定の場所で現場監督立ち会いのもとテストを受け、合格すれば入会金3,000円を払って入会する。年会費は3,000円。
テストは生涯に3度まで(1年以上空けて)受けることができる。

JAPAN MENSA 公式サイト
https://mensa.jp/join.html


JAPAN MENSA 入会方法
https://mensa.jp/join.html


JAPAN MENSA メンサとは
https://mensa.jp/about.html


2%というと、数字どおり言えば50人に1人なので、学校なら2クラスに1人、小規模な会社でも1人はいるかもしれない割合だ。
日本全体で言えば256万人が該当する可能性があり、全世界で言えば1.4億人が潜在的に条件を満たしていることになる。
ただしこれは、高いIQの保持者が日本中、世界中に偏りなく均等に散らばっていたらの話であり、実際にIQ 130以上の人が、どこであろうとも辺り構わず50人に1人いるかというとそうではないのがパラドックスだ(5ページにて)。

ちなみに東大生の平均IQが120と言われているので、「じゃぁ東大に行く方が簡単なの?」って言うともちろんそうじゃないし、東大生がメンサのテストを受けて落ちることもあるので、飽くまで「指数」であり目安。
相場の世界で、VIX 恐怖指数がどれだけ上がっても恐怖心を感じない人もいて、常に例外はあるし、その出現率が統計上の誤差の範囲であればグラフや数値には現れない。

/*
2年ほど前ビザの手伝いをし、最近久しぶりに話したスウェーデン出身の女学生もスウェーデン・メンサの会員だということがわかった。美人だし見るからに賢い顔をしている。
人口約975万人のスウェーデンはナショナル・メンサ(各国のメンサ)の中でも会員数が多い(5,000人)ことで知られている。日本の13分の1の人口なのにも関わらず。どういう違いだろうか。あまりにも気になって、調べてまとめた(笑)。

別冊:国別のノーベル賞受賞者数とメンサ会員数。
http://lscharlie.exblog.jp/24452597/

「謎だ」のまま書き進めていったが、結局気になってしょうがないので、自分でまとめることにした。
*/

メディアではMENSAの入会条件として「IQ 148以上」と紹介されているが(公式サイトには書かれていない)、これは標準偏差24(Cattell scale)の場合で、一般的なIQテストでは標準偏差15(Wechsler scale)又は16(Stanford-Binet scale)が多く、標準偏差24のテストでIQが148と出た場合、標準偏差15ではIQ 130、標準偏差16ではIQ 132となる。「偏差値」に詳しい人には馴染み深い単語だ。標準偏差が不明だと、IQ値だけを単純に比較することはできない。

別冊:知能指数(標準偏差15,16,24換算表)と出現率をエクセルでまとめてみた。
http://lscharlie.exblog.jp/24476736/
※結局これも途中までは外部リンクだったが、最終的に自分で作ることにした。

「標準偏差」は海外では「SD」(Standard Deviation)と表記される。
最終的に意味するところは同じなんだけど、聞く側からするとドルかユーロかポンドかみたいな感じのノリ。

数ヶ月前、部屋を片付けていたら『MENSA(メンサ)IQ148にチャレンジ!』という2001年に発売された本が出てきたので、どうやら私は2001年にはメンサの存在を知っていたようだが、ブログのネタのために入会しようと思うまで興味を持たないままだった。買い物記録を見ると2004年、2005年にも1冊づつ買っているが行方不明だ(笑)。

もちろんブログのネタはメンサに入れるかどうかじゃなくて(そこはクリアしないとさすがに何も書けない)、メンサの「IQ 130以上」といううたい文句が、実際の正式な知能検査に対しどのくらいの信憑性があるかどうかの検証だ。

噂のメンサは本当に高知能なのか。実験台になってみた。_f0337316_11071575.jpg
JAPAN MENSAの会員証。入会後、翌月または翌々月の中旬頃届く。


結論:信用に値する。例外はあるにしても。
※WAIS-IIIの結果は次のページに掲載した。

JAPAN MENSAの試験では、一般的に行列推理(レーヴン漸進的マトリクス=Raven's Progressive Matrices)のみ実施するが故に「本当のIQは計れない」という批判が時折見られる。
※メンサでは試験内容について言及しないというルールだが、Wikipediaにも掲載されている情報でもあり、一般的にという前置き付きで書かせてもらう。

私見を述べると、世界的にオンライン化し国境が失われていく中、行列推理は説明文も質問文も不要であることから、人種を越えた多言語ネットワークで一定の精度を保てる上、教育レベルを問わず、平等性という側面において時代に適しているし、下記の『知能のパラドックス』においても、行列推理は現代の知能検査においてもっとも有用であると結論付けている。
※行列推理は、個人的にはプログラマーに有利な系統かと思う。予測アルゴリズムを書くような人にとっては、ごく自然な思考展開だ。それもまた時代に沿ったものなのでいいんじゃなかろうか。

噂のメンサは本当に高知能なのか。実験台になってみた。_f0337316_17221355.jpg

知能のパラドックス サトシ・カナザワ (著), 金井 啓太 (翻訳)  2015/07/24発売
滅多に本を読まない私のオススメの一冊だ。


もしアングロサクソン目線で「この時代、英語もできない人間が知能が高いとは言えない」と言い出せば、それはそれでなかなか痛い。
もし行列推理以外で世界共通のテストを作ろうとすると、大凡説明文や質問文は英語が採用され、知識や文化に関わる問題も英語圏を中心とした内容になるだろう(WAIS-IIIも翻訳されているが、言語性知能の検査の内容は日本向けだ)。

東大が世界大学ランキングTOP10入りできないのは、論文の引用数なども含め英語の弱さとも言われているため、英語が知能検査の規定言語になれば、(英語が得意でない)日本人のIQは低いと出てしまい、結局のところ「世界舞台で勝てない日本人」を裏付けてしまうのではなかろうか。確かに事実と言えば事実だ。

10月01日2015年版の世界大学ランキングが発表されたためリンクを更新した。残念ながら東大は23位から43位へ、京大は59位から88位にランクを落とし、シンガポール国立大学と中国の北京大学に抜かれ、アジアの首位からも転落している。

「知能指数は80%遺伝」の衝撃
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20120118/296619/

上記記事のグラフを見る限り、行列推理に必要とされる空間生知能、論理的推理能力においては遺伝が占める割合が7割を超えている。一方で言語性知能は唯一10%台だ。ほぼ後天的に知識として吸収するものだと考えられる。努力次第で誰でも他言語が話せる可能性を示唆している。

だから(英語ができない私としても)、レーヴン漸進的マトリックスは(遺伝的な)知能を測定する上で有用であると見解を述べた上で、更にその信頼性を確かめるため、世界標準の(日本語化された)ウェクスラー成人知能検査「WAIS-III」自腹で受けてきた。実験台的に(次のページにて)。

行列推理のように図形のみであれば、質問文自体が不要であり、「?」マークの意味さえ伝われば国や学歴を問わず同じテストを実施できる。
※例えば9個のマスがあり、8マスは図形で埋められているが9個目のみ「?」になってれば、そのマスに何が入るかを聞いているのだなということがわかる。

もしマスの中を数字にし、計算を必要とする内容だと、その計算を習っていない子供には使えないし、言い換えると学問を必要とするテストはIQではなく学歴に影響されると言える。
例えば1,2,3,?や 1,2,4,8,?などの規則性なら小学生にも解けてても、結果が「フィボナッチ数列です」のような問題は、フィボナッチ数列自体を知らない人には検討もつかない(どちらかというとクイズだ)。それを「フィボナッチくらいわからずしてIQが測定できるか」と言い出すと、前述の「英語ができなくて」という話にもなり、もはや学問や知識の領域であって、国によっては学校にも塾にも行けないのだから、結果として生活水準、家庭の経済力の影響を受けてしまうことになる。

実際に今年下記のニュースが話題になった。

東大生の家庭の年収分布
http://tmaita77.blogspot.jp/2015/02/blog-post_2.html

※東大生の57%が世帯年収950万円を超えている。「世帯主が40~50歳で」という条件が付いている。

東大女子の世帯年収は男子より上、主要国立大学の世帯年収
http://media.yucasee.jp/posts/index/14617

※更に東大生の女の子を持つ家庭の世帯年収は、950万円以上から1,550万円以上の全ての分布において男子学生世帯を上回っている。

言ってみればこれらは当然の流れであり、学力というのは日々の学習(トレーニング)と、効率の良い学習方法や知識を得るための時間と情報源が必要だ。
それは塾だったり「くもん」だったり、予備校だったり家庭教師だったり、私立の有名校だったり。
そして最後のラストスパートという高校生時代に、アルバイトをせずに勉強に専念できるかどうかはとても大きい。

その影響を受けず、いかなる過酷な環境下でも東大に合格できるとすれば、それは統計のグラフに微塵の影響も与えない数少ない存在であり、東大よりも上を目指す方がいいだろう人ではないかと思う。なぜなら、努力が必要ない道を選んだ時点で、その人の最高値の人生ではないから、「東大」の肩書きがむしろその人物の印象を実物より下げてしまうかもしれない。

一方で知能は、学校をさぼり毎日アルバイトに明け暮れていようと、自宅で為替・株のトレードをやっていようと、毎日歌って踊っている人であろうとも関係なく、学歴や職歴、肩書き、社会的地位などの「ブランド」に影響されずに能力を指数化できるという利点がある。

もちろん知能、学歴、社会的な成功のいずれか1つしか手に入らないわけではない。
ジョディ・フォスターのように、子役時代からハリウッド女優であり、13才で有名作「タクシードライバー」に出演、さぞかし忙しかっただろうと思えば、メンサ会員かつイェール大学出の高いIQ(132)の持ち主もいる。しかも美人だ。
※イェール大学というと名門中の名門で、グレート・ギャツビーの登場人物であるニック・キャラウェイ、トム・ブキャナンの出身大学だ。
彼女がメンサを自慢のネタに使うとは思えず、高知能がゆえの好奇心・探究心ではなかろうかと思う。

噂のメンサは本当に高知能なのか。実験台になってみた。_f0337316_16010891.jpg
ジョディ・フォスター 天は何物でも与える。

ちなみに、現在の知能検査では、東アジア人が世界で最も高い(5ポイント)と言われている。日本は3位。

世界で最もIQが高いのは?英大学教授が調査―中国メディア
http://news.livedoor.com/article/detail/10136225/

世界で最もIQが高いのは東アジア人(中国人、日本人、韓国・北朝鮮人を含む)で、平均IQは105に上った。

日本のIQは平均105!世界で最も「IQが高い国」トップ10
http://suzie-news.jp/archives/2768
※香港、韓国、日本の順。

ハーバード大学が「アジア人お断り」
http://news.biglobe.ne.jp/international/0615/nwk_150615_9521087890.html

白人より140ポイント、ヒスパニックより450ポイント、アフリカ系アメリカ人より450ポイント、高いスコアを取らなければならない。

昨今、アメリカは「知能社会」と呼ばれるに至った。
というわけで、私を実験台にIQについて検証していきたい。

■現在 1/10 ページ。
▶次のページ「WAIS-III ウェクスラー成人知能検査を受けてみた。全額負担で。」へ。

■目次
 1ページ:噂のメンサは本当に高知能なのか。実験台になってみた。 現在ページ。
 2ページ:WAIS-III ウェクスラー成人知能検査を受けてみた。全額負担で。
 3ページ:オンラインIQテストの信憑性をメンサ&WAIS-IIIと比較。
 4ページ:Cambridge Brain Sciencesをやってみた。
 5ページ:「上位2%」は100人に2人や50人に1人とは限らない。パラドックス的な。
 6ページ:知能レベルが高い人ほど人を信じやすく、低い人はあまり人を信じない?
 7ページ:言語性知能。片言の外国人との会話から考察。
 8ページ:知能、お金、容姿。○○だからいいってもんじゃないという不思議な理屈。
 9ページ:東大首席の山口真由女史の言う「俯瞰力」とは。
 10ページ:頭と心、理論(Logic)と感情(Emotion)。
 あとがき:知能指数とは。良き理解者へ。あとがき。
 別冊:色盲とIQ。色が絡むとIQ(判断力?)が著しく下がる。
 別冊:知能指数(標準偏差15,16,24換算表)と出現率をエクセルでまとめてみた。
 別冊:国別のノーベル賞受賞者数とメンサ会員数。
 追加少年からのお便り。
 追加知能検査で天才を探す欧米と、診断目的でしか使用されない日本。
 追加学力偏差値でいうところの上位2%とは。
 追加IQ 162以上を正確に測定できるのか。唯一の解答者は「運命の人」なのか。
 追加賢い人、賢くない人の特徴。IQ、学力、知識を束ねるのは性格(感情)。
 追加天才とEQ。スティーブ・ジョブズのEQは高いのか。
 追加オンラインIQテストを標準化する。本物の値に近づけたい人のために。
 追加優れた能力は“発信”しよう。自慢ではなく事実を示せばいい。
 追加メンサ会員と東大生はどっちが“強い”のか(笑)。
 追加IQベースの児童英才教育は注意深く進める必要がある。
 追加都合良く曲解されているEQ。元々農耕民族の指標ではない。

Photographer&Engineer: Charlie
JAPAN MENSA会員


■現在 1/10 ページ。
▶次のページ「WAIS-III ウェクスラー成人知能検査を受けてみた。全額負担で。」へ。


by charlie-ls | 2015-09-19 15:04 | 寄稿ブログ

情報処理安全確保支援士☆チャーリーのブログ


by チャーリー
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31