白ヌーヴォー。フランスを飲み、フランスを食べる。

ルチアーノショー寄稿ブログ

19日。ボジョレー・ヌーボー解禁日。
フランス製品の消費に貢献すべく、19日昼、デパートのワイン売り場に向かった。自分でボジョレーを買いに行くのは10年以上ぶり。

村瀬マネージャー(元)に「今年のおすすめは?」とメールを送ったら返事が遅いもんだから(笑)、同じくボジョレーを買いに来ていた知らないオバサン(といってもお金持ちそうなマダム)話し合って白ヌーボーを買うことにした。

11月第3木曜日に解禁とフランスの法律で決まっていて、ボジョレー地区でできた今年の赤ワイン、ロゼワインを「ボジョレー・ヌーボー」と名乗っていいことになっている。白はない。
「ヌーボー」は「新酒」という意味。
私が購入したルイ・ジャド(Louis Jadot)の「Mâcon-Villages Primeur」(マコン・ビラージュ・プリムール)は、ボジョレー地区から北に行った「マコン」(マコネ)地区の白(シャルドネ)ヌーボー。「ボジョレー・ヌーボー」とは名乗れないが、同じく今日解禁の新酒。

売り場でのシーンが思い出すだけで笑える。ご紹介したい。

知らないオバサン:「赤か白迷うワ。白オイシイ」(テイスティングしながら)
デパートのソムリエ:「そういう時は赤も白も両方いかがでしょうか」
知らないオバサン:「そうね〜。そうすれば迷う必要はないけど、迷いたいのよ。わかる?」
デパートのソムリエ:「あっ、はっはい」(たじたじ)
私:「白ですね」(いきなり)
知らないオバサン:「えっ、うそ、やっぱりそう?」(ずっと一緒にいた感じで)
私:「やっぱりそうです」
知らないオバサン:「オイシイわよね、マコン」(詳しそう)
私:「はい、素晴らしい出来です。では、私が白を買うので、赤をお願いします。2人で手分けする感じで」
知らないオバサン:「ちょっと待って、手分けするのはいいんだけど、私が白じゃだめなの?」
私:「だめです」
知らないオバサン:「えっ、うそ、私が白であなたが赤にしない?」
私:「検討した結果だめです」
知らないオバサン:「えっ、やだ」(他のお客さんの顔を見渡しながら、なぜかはしゃぐ知らないオバサン)
私:「それぞれのイメージで決めましょう。私どんなイメージですか?」
知らないオバサン:「あなたはホラ、赤よ。やっぱりイタリアとかスペインってカンジするし」
私:「今フランスワインを買おうとしてるんですけど(笑)」
知らないオバサン:「私どんなイメージ?」
私:「やっぱりクリームシチューってカンジです」
知らないオバサン:「じゃ、白でしょ?あらホント?ウレシイ」(周囲に賛同を求めるオバサン)
私:「ではここは1つ、一緒に白を買いましょう」
知らないオバサン:「そうよ、そうしましょう、やっぱり」(一瞬ヒラリー・クリントンに見えた)
※初めから白しか選択肢はなさそうだった(笑)。

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ルイ・ジャド マコン・ヴィラージュ・プリムール [2015]

そうして話し合って白ヌーボーを買った我々は、支払い待ちの際、売り場に来ていた(他のワインの)醸造責任者(フランス人)と話をすることになった。

私:「私は普段カリフォルニアワインばかりだが、今年の白ヌーボーは力強いし、気品がある。まるでフランスという国そのものだ。フランスは決して屈することはない。陰ながらワインとチーズを買って応援している」

開口一番、気持ちを伝えたところ、通訳が話し終わる前に醸造責任者からハグされ、握手を求められた。なぜか一緒になってハグして握手しているオバサンって、どこの誰だっけと思いながらも、とても嬉しそうにしている醸造責任者とオバサンを見て私も嬉しくなった。


フランス国旗を掲げることは、テロの口実を生み出すリスクがあるという記事を読んだ。
そうかもしれない。
実際、昔の日本なら売り場からフランス製品撤去とか、フランス人スタッフ解雇とか、リスクヘッジとしてフランス排除に向かっていた可能性を感じる。フランス語を喋っている人と一緒に居るだけで狙われるんじゃないかという噂さえ広まっただろう気がする。

学校の無視・シカトみたいに。
あの子と付き合うとあなたの印象が悪くなるからだめよ的な。
イジメ、差別、偏見の始まりだ。

私は違う。
フランス人スタッフと働いたし、フランス人ダンサーの写真も撮ったし、多くのフランス製品を仕入れ販売もした。ここでいきなり、自分の身に降りかかってきそうだからって、フランスとは一切関係のないフリをするなんて、私にはできないし、絶対にしない。
世界中がそんなことしたら、フランスは孤立してしまうじゃないか。

「絆」とかなんとか言っていた日本はどこへ行ったんだ。

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ルチアーノショーには、ダンサーを含む全従業員の国旗が飾られていた。
オリンピック選手もいたので、オリンピックのフラッグもある。赤十字のフラッグもある。

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Facebookのプロフィール写真にフランス国旗を重ね合わせる件に対し、なぜレバノンはないのか、なぜロシアはないのかと騒がれている。
同盟国とかG7とかNATOとかEUとかユーロ圏とか、そういう社会的なことは考えないのだろうか。ヨルダン大使館のホームページを見ると、イスラエルの入国スタンプがあるパスポートでは、レバノン(やその他の紛争国)には入国できないとある。そのくらい「国交」とか「紛争」とか、大きく影響しているんだから、フランスが先に用意されたからって不思議じゃない。
※私の周りは極端にロシア人が多いため、ひいき目に見てもフランスの方が先だろうなと理解できる。

レバノンの人口は446.7万人、フランスの人口は6,603万人。
その家族・親戚、取引先、先輩・後輩などの数を考えたら、もしFacebookが同じタイミングで国旗を用意していたとしても、圧倒的な数の差があったに違いない。それは差別でも何でもなく、関連している人達の数の違いだ。

もし均等を求めるならば、アメリカやG7国が、日本と全く同じように北朝鮮を支援したら日本人は何というのだろうか。途端に「アメリカは裏切った」「アメリカは信用できない」とか言い出すんじゃなかろうか。
それが突然「聖人君子」になって、あらゆる人に均等に接するよう求め出すのはなぜなのだろうか。平和ぼけして理想主義者になったのだろうか。私にはわからない。

Facebookが国旗を用意しなくても、Wikipediaに行けば世界中のフラッグが手に入るんだから、自分で写真に重ね合わせて載せたらいいんじゃないだろうか。まだ一人も見かけたことがない。Facebookが用意しないと何もしない・できない人達なのだろうか。そもそもFacebookは国営でも何でもなくアメリカの民間企業なんだから、例えば社長の奥さんや家系にフランス人がいたらフランスを優先したとしても、罰せられるような話じゃない。

念のためリンクを張っておこう。
レバノンの国旗
ロシアの国旗

今後そういう人と向き合ったらところでレバノンを地図でちゃんと指せますか?と問いかけようと思う。

私は日本赤十字のお知らせで、パリのテロの前日にレバノンでもテロが起きたことを知っていた。
フラッグを掲げなくても寄付することはできるし、人のやり方にケチ付けるよりは、自分なりの行動を起こそうじゃないか。と思う。
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ルチアーノショーでは毎周年、エンディングではWe are the Worldを合唱していた。
もともとは「USA for Africa」だが、ルチアーノショーではコソボ紛争のための「パバロッティwith Friends」版が流れていた。
なぜアフリカだけ?なぜコソボだけ?なんて言う人はいなかった。

言い出すと止まらないから、この辺で。


帰りにチーズ売り場に寄ると、トリュフ入りのフロマージュなおフランスチーズがあったので、それを買って白ヌーボーと合わせることにした。
これがまた、信じられない程よく合うし、オイシイ。
ボジョレー(赤)の出来もよかったが、今回は白ヌーボーにしてよかった。
本当にオイシイ。今までで私が飲んだ若いワインの中で、明らかにナンバーワン。自信満々でオススメする。

私にとってのフランスは「香り」だ。
アロマテラピーやパフューム、ハーブ、ワイン、チーズ、コニャック。
この香りが世界中に届き、人々を魅了した。そう言っても過言ではない。

そんな本日のBGMは、愛の賛歌 by Édith Piaf

フランス人はラテン民族だ。
悲しい時ほど、唄い、手を取り合って踊る。
そして明日という日に乾杯する。
私が知っているラテン民族はそういう人達。

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エッフェル塔も無事に営業再開した。
またいつの日か、美しきパリの街に降り立ち、シャンゼリゼで乾杯したい。

ブログを書き始めた頃、村瀬マネージャー(元)から返信が来た(笑)。
元気そうで何よりだ。

追記:レバノンではテロ当日から「食の祭典」が開催されていた。
セクシーなチョコレートドレスも披露、レバノンで食の祭典開幕
http://www.afpbb.com/articles/-/3066426

中止もしなかったようで、強さを感じる。

Photographer&Engineer: Charlie
JAPAN MENSA会員

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by charlie-ls | 2015-11-20 11:05 | 【赤坂】ルチアーノショー寄稿ブログ

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