「育ち」は出る。時として遺伝子以上に。
2019年 09月 10日
遺伝子が見た目や性格、知能そして多くの才能を決定付けていると考えたくない人は多い。
しかし、身長や顔、声、体型・体質が似るのに才能や知能だけ似ないはずがない。
社会に出ると更に「育ち」が出る。他人から見ると時として才能よりも強く表出することがある。
例えば宅配便の配達員を見ていると、新人っぽい人は決まって荷物(段ボール)に伝票を貼り付けたまま、「ココに受け取りのハンコをお願いします」と言って差し出す。
と聞いて何を感じるかで既に育ちが出ている。
段ボールのような凸凹だったり反り返った硬いものの上でハンコを押すと、印影の一部または多くが欠けてしまい、結局もう一度押し直すことになる。何回押しても大して変わらない。
親がハンコを押す側の職務に就いていた(≒シャチハタとは縁がない)家庭で育った子供は、幾度となく押印箇所の下に柔らかいシリコンマットを敷くのはなぜかを考えたことがあるだろう。
「考える」という環境刺激があるかないかの違い。親の社会的地位が、子供が社会に出てからの“教養”レベルを左右する。
※行動遺伝学では環境刺激が遺伝的才能を発現させる引き金となるとされ、育ちは才能“発火”のための着火イベント群だと言える。
名門バレエ団はバレリーナ本人とその親の体型を見るように、子供とは親そのものと言っていい。
顧客にハンコをもらわなきゃいけない営業マン達(例えば不動産・保険業など)はこのシリコンマットと朱肉を持ち歩く。日本の営業シーンでは「当たり前」と化しているから、小さい頃家で見たことがなくても、大人になって自分がハンコを押す側の立場(「顧客」側または相応の社会的地位)に就いていれば、同じく自然に身につくこと。
が、「ハンコ持参」に続き「シャチハタ以外」という注意書きをよく見かけることから、シャチハタが正式なハンコとして使えると思っている人も一定数居ることがわかる。これも育ち。
参考リンク:今さら聞けない。シャチハタと印鑑の違い|広島の老舗はんこ屋 入江明正堂

話を戻すと、新人っぽい配達員は学習し、大抵1ヶ月もしないうちに荷物から伝票を剥いで「ココにハンコをお願いします」と渡すようになる。
受取人は押印箇所の裏に自分の指を当てる(=シリコンマットの代わり)なりしてハンコを押す。
が、3ヶ月・半年経っても段ボールのまま渡す配達員も1-2割くらいいる。
私は毎日欠かさず荷物の受け取りがあるため、段ボールごと渡された場合、まずそのまま押して見せる。そして印影の一部または全部が欠けていることを確認してから、伝票を剥いでもらい、後ろに指を当ててハンコを押し伝票を渡す。
さすがにそれを3回見たら理解するだろうと思うんだが、学習能力(観察力)が著しく低い人がいる。こういう人は決まって1年以内に居なくなる。他の従業員にできることができず居場所がなくなるのだろう。1日中手取り足取り教えている暇があれば「自分で配達した方が早い」という人が出てきて仕事を奪われる。これは“生産性”の問題とも直結する。
最近は昔のように社員教育に時間を割かなくなったから特に。
「そんなの学校で習わなかった」として“学校は役に立たない”という主張の材料にする人もいるが、教育とは学校や塾だけがするものじゃなくて、本来は親がするもの。学校や塾はそれを補うもの。
しかし実情として、学校や塾に行けば皆同じレベルになれると考えている人が日本には多い。が、違う。「子は親の背中を見て育つ」は真であり、本人の「当たり前」水準を決定付ける。
生活水準=文化水準かつ≒知的水準。
いやいや「知的水準」は言い過ぎか。そうでもない。“当たり前”、“普通”の基準がズレていると、初めから考えようともしないので、思考の根源となる環境刺激がソコでフィルタリングされてしまい、世間との感覚・認識の差異が失敗となって表出する。
世の中のルーチンワークとは大凡平均を基準に構築されているので、もし社会に出て「そんなの習ってない」「教えてくれなきゃわかるはずない」と思うことが多いのであれば、家で学ぶべきことを知らずに育った可能性が高い。ほとんどの人が知らないことをさせるのであれば会社は教えるから。
一方大人になって他人を見て「そんなことも知らないの」「当たり前でしょう」「それって常識じゃん」と思うことが多いのであれば、その水準の感覚を育んだのは親と家庭環境だと言える。
だから「新社会人」と言ってもスタート地点は全く異なる。
親の地位や生活水準が教養の基盤となると考えると気分を害する人もいるだろう。しかしもっと問題なのは、親や家庭環境を否定されたような気になり「そんなの関係ない」に始まり「社会が間違っている」という方向に思考が向かうこと。
こんな統計がある。親(特に母親)の学歴が低いと、子供の学歴も低い。これは、自分を立派に育ててくれた母親を見て、「学歴がなくても立派に生きていける」という習慣的価値観と精神論(美化)の結果の1つと言える。が、人として立派なことと、現代社会が求める知識・教養レベルを身につけることとは全く別の話であって、そもそも母親世代とでは要求されるものがまるで異なる。何もかも同じが“真”ではない。
参考記事:本当に大人に数学は必要ないのか。
また、人と接するのが苦手な人にとって、あまり人と関わらずに生きていける(ようになりつつある)現代社会は、割と楽そうな方向に向かっているようにも見えるが、その分他人との差異に気付く環境が減るから、自分がどのくらい頑張る必要があるのかが解らない。ひいては会社や上司の評価が理解できない。という問題が多々生じるだろう。今後。
欧州のように、常に階級を意識して育つのも圧迫感があるかもしれないが、日本のように「皆同じ」だと信じて育つと大人になって苦労する印象がある。
恐らくどっちであっても異なる問題が生じるんだろうが、欧州は総じて自己肯定感・幸福感が高く、日本人は先進国一自己肯定感が低く自殺率が高いことを考えると、日本社会は精神論と現実のギャップが大きすぎることが原因ではないかと思う次第。
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チャーリー(@)
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【国】情報セキュリティマネジメント試験合格
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【国】危険物取扱者 乙種 第2類、第3類試験合格。
心理学検定1級試験合格。
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【国】危険物取扱者 乙種 第5類、第6類試験に合格。。
【国】危険物取扱者 乙種 第類試験1に合格。
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