知能とは何か。第三シーズン。知覚(入力)、記憶、思考(演算)、抑制・促進(制御)、表出(出力)。

 の「留守番」に始まって、“当たり前”のことをするための必要条件と流れについて考えてみる。

 まず入力。留守番中、不法侵入者と居住者を見分けるには、ヒトは通常視覚情報を用いる。

 家族同士は一目瞭然でも、例えばお手伝いさんから見て一卵性双生児(遺伝子が全く同じ双子)は区別がつきにくい。そこでヒトは聴覚を使って声から判断したり、嗅覚を使って体臭(例えば兄はタバコを吸うが弟は吸わないとか)から判断したり、服などのセンスや癖、雰囲気などから判断したり、究極的には“オーラ”で判断してみたりする。

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 その他触覚、味覚もある。と言ってもヒトは留守番中に味覚を使って居住者と不法侵入者を判定しない(笑)ので、留守番以外のシーンにもあてはめて考えていただきたい。
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 しかし鈍感な人は気付かない。

 従ってアンテナ(入力)感度がいかに重要かがわかる。それは知覚も知能を形成する要素(入口)であることを意味する。

 ※知覚レベルには生得的な差があることは特異的無嗅覚症を例に書いた。

 知覚は入力であり、記憶を呼び覚ます刺激またはスイッチでもある。

 入力(知覚)された情報は、記憶(メモリ、データベース)と照合さる。「見た目は似てるけどどこか違う」と感じると、例えば「いつもはグラスを左手で持つ人が今日は右手だ」とか、「あの曲」が流れるといつも歌い出すのに今日は無反応だとか、膨大な記憶が読み出され参照される。

 ということは記憶(力)もまた知能の一部であることが解る。

 ウェクスラーのような総合知能検査は、主に聴覚からの入力をもとに言語性知能を、視覚からの入力をもとに動作性知能を、これらの回答(応答)に必要な作動記憶及び短期記憶を、そして知識を通じて長期記憶を測定している。
 ※バージョンIVから言語性・動作性の区別はなくなったが仕組みは同じ。

 ---切り取り線--- おおよそ一般的な知能検査とはここから上の測定。後述の出力を伴うが。---切り取り線---

 そして以下は、なぜ知能検査は精神科や心療内科が管轄するのかに関わるところ。

 トラウマやショックなどから記憶が書き換わる(または消去される)こともあり、記憶とは記憶力の性能だけでは説明できない。よって精神の健全性もまた知能に影響する

 また性格によっては、目の前に精神科医や臨床心理士などがいて、誰かに観察・監視されていると意識することで思考自体ができなくなったり、混乱したり、緊張で言葉が出なくなったり、手が震えたりし思考の出力(後述)が困難になったりする。
 幼少期・思春期の体験が性格に大きく影響することから、「育ち」も知能に影響を与える

 そして認知(知覚と記憶の統合)

 例えば、ある女性(A)はBMWに乗った高給取りの彼と付き合ったがトンデモナイDV男だった(とする)。悩みを聞いたある男性(B)は「BMWに乗ってる男なんてろくなヤツいない」と発言した。認知の歪み(1)。

 (A)はその後素敵な男性と出会ったが、男性の愛車がBMWだとわかり、過去のDV男が重なって偏見と嫌悪感が態度に表れ関係を壊してしまった。認知の歪み(2)。

 (A)は、彼の気の利いた注文によって、最も大好きかつ2人の想い出の銘柄のワインがグラスに注がれたが、偶然店内で流れていた曲が過去の嫌な想い出を蘇らせ、「このワイン美味しくない」と感じて飲まなかった。その結果彼と溝が生じた。認知の歪み(3)。

 (1)は偏見(バイアス)。単なる嫉みとかキライな芸能人がBMWに乗っているとか多くの場合そんなレベル。

 (2)は記憶は確かなものだが、認知が歪んでいると「BMW」をベースに物事判断してしまうケース。そもそもBMWは何も悪くない。

 (3)は音楽に対する記憶は確かでも、大好きなワインの味(味覚)を歪めてしまっているケース。第三者からは味覚を疑われたり、一貫性がない(いわゆる気分屋)と見なされたり、不安定な能力としてみなされる要因となる。

 (3)ではサンプルとして味覚を挙げたが、視覚・聴覚なども含め、必要な時に必要なパフォーマンスを発揮しないと仕事に支障を来し、他者による評価が上がらない。その結果自己肯定感も上がらないどころか自己嫌悪に陥ったりする。更には自信がなくなりその後思考が抑制されることがある(後述)。

 認知が歪んでいると、知覚と記憶が統合され思考に移る認知の段階でエラーが起きる。自分の脳に自分自身が騙されている状態と言える。

 例えば、上記の延長線上で、(A)の職場にBMW社との商談が舞い込んだが、担当者として指名された(A)のあまりにも消極的な態度で商談が流れたとする。その結果、会社に大きな損失をもたらしたとなれば、周囲は(A)に対し「仕事ができない」「やる気がない」「不安定な精神によって判断力を欠いた」といった評価がくだされ、それが続くと「病的」と見なされたりする(周囲は補填などのコスト計算を始める)。

 当然に「知能が高い」とは誰も思わない。例えどんな事情があろうとも、補填コストと見合わなければ他者は離れていく。残念ながら。

 ※事件時に知能検査と精神鑑定をもってして責任能力を判定するのもそういうことであり、知能指数自体に問題はなくても「心神喪失」によって正常の判断ができなかったと見なされることもあり、常にセットで用いられる。すなわち知能指数とはカタログスペックでしかない

 「(A)は過去の体験からBMW社との商談を全うできるとは思えず、自ら担当を辞退するべきだった」と第三者は冷静に正論を述べるが、当事者とはそうはいかないのが“賢さ”とはただの演算結果ではないことが見て取れる。

 認知によって思考が歪んだり抑制(または促進)されたりする。例えば配慮・遠慮、コンプレックス、自信のなさ(インポスター症候群とか)等によって出力は抑制され、一方で自信過剰(ダニング=クルーガー効果)だったり褒め続けることで気を良くし促進(亢進)される。または利己的・打算的欲求や自己愛(ナルシシズム)・プライドなどによって衝動的になったりもし、思考及びその出力は認知によって制御されていると言える。

 ※投資がギャンブル化する事が多々あることからも解る。本人の平常時の思考力は人並み以上でも、負けを取り返したい、負けたら恥ずかしいという感情が優位となり衝動的になる。端から見るとヒトは一時的または断続的或いは永続的に愚かなことをしでかす。

 脳が正常な思考・判断をするためには健常な認知が必要であるということは、認知も知能の構成要素と言える(精神状態も含むことは前述の通り)。

 知覚(入力)による刺激または情報が記憶と照合され認知となり、認知が思考に影響する。

 ココまでは、心理学で言えば、知覚心理学、認知心理学、発達心理学などの領域。

 もっと全体に目を向けると、例えばビタミンB12が欠乏し常にイライラしていて集中できないとか、どこか痛いところがあり能力を発揮できない場合も、結果として優れていない。

 ということは、健康状態(ひいては食の選択)も知能に影響を与えていると言える。

 ※認知症では家族の顔さえも認識できなくなるため、知能とは必ずしも生得的なものとは言えず、心身の健康とも大きく関わりがある

 「他人の評価」とは、当人の知覚(入力)から記憶との統合(認知)、そして思考(演算)の結果が出力(行動として表出)されたものに対して行われ、言い換えると最終的な出力結果しか他人の目に触れないということでもある。

 ※出力されない限り、他人はその思考を知り得ないため、社会的にはその知能は存在しないのと同じ。

 思考の出力(表出)とは何か。

 話す、書く、歌う、楽器を奏でる、キーボードを打つ、マウスをクリックする、踊る、表情が変化するなど「表現力」「伝達手段」と言われる領域全て。手話も当然に含まれ、総合的には運動神経によって果たされると言ってもいいだろう。

 ※運動神経と言うよりは遠心性神経と言った方が正確かもしれない。知覚(刺激)が引き金となって緊張したり顔色が変わったり、恐怖が蘇り汗をかいたり震えたりするのもまた思考の表出だから(自律神経の領域)。

 例えば喋らなくても書かなくても、何かを質問したり写真を1枚見せるだけで急に汗をかいたり心拍数が上がれば、「黙秘しているだけで、汗をかく(または心拍数が上がる)ほど何かを考えている」ことが解る。尋問などではそうやって嘘や隠し事を見抜いていき、ポリグラフ(嘘発見器)の仕組みも同じ。

 すなわちそこに居るだけで思考は常に表出していて、知覚(入力)感度が高い人は、微表情や体臭の変化から思考を推定することができる。いずれ人工知能でも同じことができるようになるだろう(嗅覚に関してはまだ入力装置がないが)。

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 ここで言う思考とは感情も含まれる。認知によって引き起こされるものだから。
 例えば海外のどこかで地震や津波が起きる。速報を聞いて「海外」と解った途端スルーする人が多い。自分に関係ないから。一方、自分の家族や仕事に関わると判明した途端不安で涙が止まらなくなったり吐き気を催す人もいる。すなわち地震や津波という事象によって感情が引き起こされるわけではなく、思考の結果認知となって感情が起こると言える。それだけ利己的なヒトが多く、利己的とはまさしく計算(思考)の結果。

 先天性無痛症は痛みを感じない(知覚しない)。知覚しなければ痛くないので「痛い」という認知が生じ得ない。痛いはずの刺激を受けても痛いと感じなければ痛いことに対する不快感も生じないためそこに感情が生じない。例えば沸騰したヤカンに触れても手を引っ込めない(恐怖心もない)。反射神経・運動神経に指示が出されない(当然火傷する)。という具合に全てつながっている。

 音痴も同じ。音程がズレていることを知覚しないため、平気でドレミをレミファで歌えるし自分が音痴であることを認識できない。通常は不協和音となり自他共に不快感が生じるが、知覚していないのだから何も感じない。周囲が表情や言葉などから不快感を示すと、それを知覚して「自分は音痴みたい。歌うのが恥ずかしい」と言った感情が生じる。
 ※ちなみに単に「歌が下手」なのと生得的な音痴は異なる。

 特異的無嗅覚症が代表例で、知覚していないニオイは本人にとっては「存在しない」ことと同じで、当然に当該芳香成分に対しクサイ(または「イイ香り」)という感情も生じない。

 という具合に全てつながっていて相互に作用している。
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 出力が遅いと周囲はイライラしたりこの人は仕事ができないと判断しチャンスが与えられなくなったりする。パソコンに例えるなら演算は3秒で終了しているのにプリントアウトまで5分かかるとか。するとヒトは何を考えるだろうか。「プリントアウト」という作業及び伝達手段を排除しようとする。電話する、メールするなど。

 同じように人間も出力があまりにも遅いと周囲は待ってくれない。時間とはコストそのものだから。言い換えると、時給ベースで人間が生活している以上「速さ」と切り離して考えることはできない。他人の時間(≒お金)を奪うと排除対象となり、能力に値段が付かなくなる(需要がなくなる)から。需要がなくなれば能力を示す機会がなくなり、それは社会的に見ればないに等しい(存在自体が知られない)。

 以上、知覚(入力)、記憶、思考(演算)、抑制・促進(制御)、表出(出力)についてまとめてみた。

 ココまででコンピューターの構造に明るい人はピンときただろう。

 入力と出力、記憶、制御と演算と言えばまさしくコンピューターの五大機能。

image

 引用元:http://e-tech.life.hyogo-u.ac.jp/contents/kyouzai/kyouzairon/godai.html

 この図は多分今後の義務教育でも習うことになると思うので結構重要。

 という全体像(それでもまだ一部だが)を把握したので、次回以降は人工知能の得手不得手、そしてどこに向かっているのかを確認しつつ、時間(コスト)と生産性について考察していきたい。

三段論法から見る認知の歪み(偏見)。


チャーリー(
JAPAN MENSA会員
情報処理安全確保支援士/登録情報セキュリティスペシャリスト(RISS)

AEAJアロマテラピー検定1級
AEAJ認定アロマテラピーアドバイザー
AEAJ認定環境カオリスタ
AEAJ認定アロマテラピーインストラクター
AEAJ認定アロマブレンドデザイナー
AEAJ個人正会員
JAMHAメディカルハーブ検定1級
JAMHA認定メディカルハーブコーディネーター
JAMHA認定ハーバルセラピスト
【国】ITパスポート試験合格(笑)。
【国】情報セキュリティマネジメント試験合格
【国】臭気判定士
薬学検定1級試験合格
HTML5プロフェッショナル認定資格 レベル1試験に合格。
個人情報保護士認定試験に合格。
情報セキュリティ管理士認定試験に合格。
【公】メンタルヘルス・マネジメント検定II種(ラインケアコース)試験に合格。
Comptia Security+試験合格。
SEA/J情報セキュリティ技術認定CSPM of Technical試験合格。
【国】危険物取扱者 乙種 第4類試験合格。
【国】情報処理安全確保支援士(旧情報セキュリティスペシャリスト)試験合格。
【国】ファイナンシャル・プランニング技能検定2級試験に合格。
【国】危険物取扱者 乙種 第2類、第3類試験合格。
心理学検定1級試験合格。
【国】登録販売者試験合格。
【国】危険物取扱者 乙種 第5類、第6類試験に合格。。
【国】危険物取扱者 乙種 第類試験1に合格。

心理学検定特1級試験合格。

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by charlie-ls | 2020-07-31 11:01 | 個人ブログ

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